祖父の代から半世紀余り。広島・五日市の街の様子は変わっても、私たち松栄寮が寮生さんへ注ぐ愛情だけは変わりません。

 

最近では珍しくなった夕食つきの学生寮です。

「あの子はハンバーグが好きだな」

「あの子は中華スープの日は必ずおかわりするな」

と寮生さんの顔を思い浮かべながら日々の献立を考えています。

祖父はよく「ごちそうさん、という弾んだ声を聞くと『あしたも頑張ろう』という気持ちになるんじゃ」と話していましたが、私も同じ気持ちで取り組んでいます。

 

その成果として、浴室やトイレ、テラス、食堂といった共用スペースには、よその寮に負けない清潔感と使いやすさがあると自負しています。

 

親元を離れた生活、高校時代とは全く違う大学の授業、社会経験として役立つアルバイトなど、新しい環境で生活する不安もあるかと思います。

松栄寮では、例えば浴室を24時間使用できるようにするなど「個人」を尊重する工夫をこらしています。

現代のライフスタイルに合わせて、各部屋にはクローゼットを取りつけました。

 

もちろん、寮ならではの「仲間」と楽しく過ごせる空間づくりも欠かしません。

昼はテラスでのんびり過ごしたり、夜は食堂で大型テレビを見ながら語り合ったりもできます。

中には寮外の友達を呼び寄せて「刺身を振る舞う」と言って、私が夕食を作るかたわら、厨房で魚をおろし始める寮生さんもいますよ(笑)。

 

そして、家賃が安価であることも魅力のひとつ。

手前味噌ですが、急病時にも親身になってケアしていることで、遠方に住まれる保護者の皆様から「安心しました」というお声もいただいております。

 

私たちは50年以上にわたって多くの寮生さんを見守り、社会へ送り出してきました。

これからも、自由で思いやりのあるコミュニティーを目指し、寮母としてひとりひとりと寄り添ってまいります。